2006年03月14日

ホワイトデーSS


白い日の夢…

『悪いわね聖、やっぱり抜け出すのは無理。離してくれそうにないわ…』
さっき携帯に電話してみたけど案の定、さらに寂しくなる返事だった。
私は一人ぼっちで、朝から自宅で悶々と過ごしている…

3月14日…世間一般はホワイトデー
恋人同士ならバレンタインデー同様、一緒に過ごしたい大切な日。
しかし熱愛中の私と江利子は悲しいかな、今日は離ればなれ…

なぜかと言えば、鳥居家の男性陣4人が問題なのだ。
父上と兄上達は、もう昔から江利子を溺愛している。
行事があるごとに『江利ちゃん。江利ちゃん』と大騒ぎ…。
想像するとおかしな光景だけど、とても大事にしていることもよくわかる。
故に、男の影には非常に敏感で手が付けられなくなることがしばしば…
でも私と会うと言えば即OKなので、そういう意味ではつき合いやすい。
だけどやっぱり男と女の、お決まりの行事の日は難しいんだよなぁ…
バレンタインデーは、江利子がさっさとチョコだけ渡してすり抜けたのだが、
ホワイトデーとなるとそうはいかなかった。
それぞれが本領発揮と言わんばかりに、もの凄い倍々返し攻撃を仕掛けてくる。
4人揃って恥も外聞もなく泣き落としてくるそうだから、もうお手上げだ。
まあ、ね。バレンタインデーにはいい思いさせてもらったから、
この日だけは好きにさせてあげなきゃバチが当たるってもんだろう。
つき合ってるのを詮索されでもしたら面倒だし。

そんなこんなで、今日は一歩譲って私は一人。
でも、やっぱりつまらない訳で…

江利子と付き合いだしたきっかけ…
思い起こせば、リリアン高等部時代の伝説の逸話であるクマ男騒動。
あの一件では、鳥居家男性陣は学園長や山百合会の面々に促されて、
クマ男こと山辺さんと江利子の、友達としてのつき合いは渋々認めたんだけど、
やはり監視の目は厳しく、ちょっと出掛けるにも一苦労で、
たまに私がカモフラージュでいろいろ画策してあげたりするうちに、
何となく、お互い意識するようになっていったんだと思う。
江利子とはそれこそ高等部最後の年に、いい雰囲気になったことはあった。
お互いあまり干渉しないところが居心地のいい空間を作っていたんだ。
結局騒動のおかげでその時は素直に身を引いた形ではあったんだけど…

その後も江利子と山辺さんとのつき合いは何年か続いたが、
いつしかどちらからともなく終わりを迎える。
あまり詳しいことは知らないけど、私も原因の一部であったことは周知の事実。
まあ無意識というか本能のままにアプローチし続けてたんだもの…
年月を経て、恋愛に発展した今でも気負いなく自然体で居られるところがいいんだ。

「江利子…逢いたい」

妄想が頂点に達しそうになり、少しクールダウンしないとマズイ…
ちょっと外に出てこよう。もう夕方近いし。
わびしいけど夕ご飯の買い出しも兼ねて気持ちを紛らわしてこなきゃ…
ジャケットを羽織って、財布を内ポケットにねじ込み、
さて玄関を出ようとすると、チャイムが鳴った。

『私よ』
妄想の真っ只中にいた愛しの恋人の声がしたのであわててドアを開けると、
両手に大きな紙袋を重たそうにぶら下げ、疲れきった様子で彼女は入ってきた。
「あれぇ? 江利子…」
「何よ。その気の抜けたような返事は」
「だって。今日はもう来られないとばかり…」
「いやだ、本気でそう思ってたの?」
「…うん? いや…。うん…」
「すごく大変だったけど、何とか言いくるめてやっとの思いで逃げて来たのよ」
「へえ…そうなんだ。無理しなくてもよかったのに…」
「バカ。私たちは今いったいどういう関係だと思ってるのよ!」
“呆れた” という顔をして紙袋を玄関にドサッと置いて中に入ってくると、
私を壁に押しつけて、今度はちょっと怒った顔で問いただす。
「寂しかったんでしょう?」
「いや…別に」
「あら、それじゃあその赤い顔は何? 具合でも悪いのかしら…」
妄想が醒めやらぬまま、素っ気ない一言を言ってはみたが、その通り。
顔だけじゃなく、体中が火照ってどうしようもなくなっている。
ポーカーフェースには自信があるけど、江利子の前ではダメなんだ。
トロンとした瞳で見つめられると背筋がゾクゾクっとして
まるで魔法にかかったように力が抜けて、もう観念するしかない。
「降参、降参…」
背中にそっと手をまわして抱き寄せ、まずは軽くキスを交わした。
「ん…寂しかったよ江利子…」
「私も…早く逢いたかったわ」
「でも、今日は本当に諦めてたんだよ?」
「バカね。この日を一緒に過ごせないでどうするのよ…」
甘く囁(ささや)きあいながら、ひとしきり交わすスキンシップ。
少し細身の江利子のボディーラインは、抱きしめるといい具合にしっくりと心地よく、
たちまち愛おしさが込みあげてきて、思わず腕に力が入ってしまう。
「聖、待って。オアズケよ…」
「なんでさ…もう体が熱くて我慢できないよ…」
「バカ。せっかくの日なんだからムードも大事にしたいのよ」
さっきからバカって言われっぱなしだ…
こんな少女っぽい一面も見せる江利子。
愛おしさはますます膨らむばかりだが、ここは素直に一呼吸置くとするか。
「…わかったよ。そのかわり後で容赦しないよ?」
「何言ってるのよ。今日は私が貰う番よ」
江利子はニヤリと笑って私の耳元で妖しく囁く。
「思う存分食べさせてもらうから…」
「…相変わらずドキッとすることを言うね」
「何よ。嬉しいくせに」
「それはまあ…ね」
少女の中に潜む魔性の女の一面、いや逆…まあどちらでもいい。
江利子のそんな掴みきれない言動や行動に振り回されるのが快感で、
私は虜にされている…

「それにしても本当に毎年のことながら疲れる。アイツら絶対おかしいわ!」
「ははは。そりゃあまあ江利子が可愛くて仕方ないからでしょ?」
「もういい年なんだから。いい加減、子離れ妹離れしてくれなきゃ困るのよ」
江利子はいつも “面白いことを求める彷徨い人” なんて言ってるけど、
本人も端から見るとかなり飽きない存在だということをわかってないんだよね。
急に膨れたりするところとか、もう可愛くてどうしようもないよ…

江利子はスッと私から離れると、玄関の紙袋からワインを1本取り出す。
「冷えてないけど、とりあえずこれで乾杯しましょうか?」
「うん。グラスを用意するよ」
「高そうなお菓子もあるわよ」
「何でも頂きましょう。父上たちに感謝を込めて」

寄り添い、笑いながら居間へと向かう。
甘い時間はこれから。
今日はどんな恍惚の世界を味わえるのだろう。

寂しかったホワイトデーは最高のシチュエーションで幕を閉じそうである…



posted by みどし at 23:32| ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 二次創作(原作内?)聖・江・蓉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月22日

2/22猫の日SSS 聖と・・・


「聖の瞳は猫の瞳のようね」
「猫…? そうかな…」
「綺麗な瞳。でも時には弱々しい子猫のような瞳…」
「子猫だって? 失礼だなぁ。そんなに子供じゃないよ」
「うふふ。そうやってムキになるところなんか特にね」
「ちぇっ。それなら江利子の瞳だって猫みたいだよ」
「あら、どういう風に…?」
「好奇心旺盛でギラギラしてて、それから…」
「それから?」
「えっと…何ていうかその…ずるがしこいっていうか」
「まあ…よくも言ったわね」
「正直に言ったまでだよ…って…ちょっ…江利…」

あっという間に組み敷かれ、その瞳に捕らわれてしまった
私を見下ろすそれは、まるで幼女のように無邪気で
それでいてオトナのオンナの妖艶な笑みを含み
めくるめく快楽の世界へと吸い込まれていくようだ…
“これからどうやって遊んでやろうか…”
そんな怖い表情も見え隠れする妖しい瞳に
私はたちまち虜になってしまう…
そして猫のようにしなやかな四肢がゆっくりと蠢(うごめ)き出すと
全身の力が抜けて、もう動くことはできない…

「聖…もう逃げられないわよ」
「…ん…江利子…」
「ふふ…覚悟しなさい」

次の瞬間、首筋を少し強く噛まれて…
意識が徐々に薄れていく…


私は江利子のエモノになった…


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「聖さまの瞳は猫みたい…」
「ん…猫?」
「強くて優しくて、時々甘えてくるんですよ」
「へえ…そうかな」
「はい。いろいろ変わる聖さまの瞳が大好きです」
「ありがとう。何か照れちゃうよ…」

可愛いな祐巳ちゃん
そんなこと言うから、ほら苛めたくなってきちゃった…

「ねえ祐巳ちゃん、猫みたいに好きな所は瞳だけかな…?」
「え…?…はい…いえ…あの…」

しどろもどろになってきた。ふふ、顔を真っ赤にしちゃって

「他にもあるんでしょ?…何処かな。さあ言ってごらん?」
「…もう…恥ずかしくて言えません」
「それじゃ当ててあげようか…」

体を起こして祐巳ちゃんをベッドに押さえつける
そして頬のあたりからゆっくりと舌を這わせた

「…はぁ……いや…だ…」
「祐巳ちゃんが好きなのは、この猫のような舌だよね」

さらに下のほうへと滑らせる

「…せいさま……や…あ…」
「猫の舌はザラザラしてるっていうけど、私のもそうかな?」
「…っ………!」
「ねえ…祐巳ちゃん?」

祐巳ちゃんは声を出すのを必死で我慢しているようだ
そんなことしたって体は敏感に反応してるのがわかるよ
どんどん熱っぽくなって私もだんだん理性がなくなってくるんだ…

子猫みたいに可愛い祐巳ちゃん
さしずめ私は親猫かな?
こうやって全身を綺麗にしてあげるんだから

でも親猫とは違う残忍な心もあるんだよ…
食べてしまいたいというキモチ…
野良猫のようにいつも目を光らせてエサを探してるんだ…


キミは私のエモノなんだよ…


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「あなたはまるで猫のようだわ…」
「ネコ…どういう所が?」
「捕まえてもすぐに止めを刺さないで散々弄ぶ所…」
「ハハハ…すごい言われようだ」
「見てよ…もうこんなに傷だらけよ」

白くて滑らかな肌のあちこちに点々と赤黒っぽい痕
それは私が付けた印…私のモノだという神聖な “証”

「もう、他の人には見せられないじゃない」
「いいじゃん。私だけが見るんだからさ」
「お医者にかかる時とかどうするのよ」

真面目に言ってるんだか冗談なんだか…
たまに優等生に戻ったような言い草が可愛い

「私がくまなく診てあげるから大丈夫だよ」

その白い肌に手を回し、胸近くの “証” の一つに唇を寄せる

「傷ならこうやって治してあげるよ…」
「…くすぐったいわよ」

少し声をくぐもらせ、私の頭に手を添えてきた

「たまに甘えてくるところもネコみたいなのよね…」

さらに深く抱えて優しく撫でてくれる

「私は強い聖も弱い聖も、全てが好きよ…」
「蓉子…」

どんな私も受け入れてくれる蓉子
私もまた蓉子のモノなのだ…

「蓉子…大好きだよ」
「私もよ聖…」

合図は唐突に交わされる…
捕らえるのは一瞬のまばたきの間で十分…
私たちはお互いのエモノと化し、本能のままに貪り食う…
汗…唾液…血液…
体中の全ての体液を煮えたぎらせ、飛ばし合い…
時の経つのも忘れて至福が満たされるまで…


ただ目の前のエモノを貪欲に食らうだけ…
posted by みどし at 05:45| ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 猫の日SSS(ベッド上)聖と… | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月14日

バレンタインSS(視点分け)聖×祐巳

甘い甘い日…(祐巳視点)

今日は2月14日。猫も杓子も(!?)聖バレンタインデー

ここは聖さまの一人暮らしするマンションの一室。
ひょんなことからつき合い始めて、そして迎えたバレンタインデー。
嬉しいはずなんだけど、何かが違う…?
山のようなチョコレートが目の前にある。いや大げさじゃなくて本当に…
ワイドショーで話題になる、アイドルに贈られた箱いっぱいのチョコ…正にあんな状態!
いったいこれはどういうことなんだろう。まさか本当にこんなにいっぱい貰ってきた…??

「あの、聖さま…これはいったい?」
「うん?昨日いろいろ見て回ってるうちにね、どれも美味しそうで選べなくなったんだよ」
「はあ…? 昨日…」
「だから全部買って来ちゃったんだ〜」
「買ったんですかぁ?? …って、しかしこれはさすがに…限度っていうものがありますよ」
「いいじゃん。祐巳ちゃん甘いもの大好きでしょ? 遠慮しないで全部食べていいんだよ?」
「いや、聖さま。そういう問題じゃなくて…」
「…せっかく祐巳ちゃんの喜ぶ顔が見たかったのに」

どうしたんだろう? 今日の聖さまはやけに子供っぽいような…

「なんで食べてくれないかなぁ…」

ウソでしょ?? 聖さまが泣いてる!! なんで、なんで、なんで!?

「聖さまごめんなさい!! 食べます。食べますとも!!」
「ホント!? ありがと祐巳ちゃん」

うわぁ、今まで見たことないくらい嬉しそうな顔してますよ…
しかしあまりにたくさん有りすぎると、ゲンナリしちゃうんですけど…

「はい祐巳ちゃん。まずはこれから!」
「もがが…待って、聖さま…」

口にむりやり詰め込まれてしまった。
これはもしかしたら新しいプレ…イ…!? じゃなくて、お戯れ…?? 

「ほらほら早く。次はこれだよ。ふふ、食べさせてあげるから…」
「せ…聖さま…ちょっと……まだ…早い」

顔が近くにきたと思ったら、もう口を塞がれていた…
聖さまの唇は優しい…そして…いつも甘い…
チョコの甘さも加わって、何だかおかしな気分になってきて…

「…ん…ああ……聖さ…ま…」

聖さまを止めることはもう出来なくなった…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああ・・・
・・・ん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・せ・・・・い・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・や・・・だめ・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いや…ん…もう食べられ……」
「……う…ん……祐巳ちゃん…?」
「うひゃあ! 崩れて…!!」

思わず掛け布団を思い切り跳ね上げてしまった。

「ふわぁ…寒いよ。どうしたのさ…」

隣に聖さまがちょこんと縮こまって寝ていた…

「あれ、聖さま? チョコレートは?」
「なに…悪い夢でもみたの? チョコ…今日一緒に買いに行くんでしょ?」
「あ…? はい…」
「バレンタインデーにはチョコを交換しましょうって約束した…」

そうだった。あれ?しかも今日はまだ14日じゃなくて2日前の日曜日…
当日は授業があって時間がバラバラだから今日にしようって決めたんだった。

「二人でチョコ買いに行くなんて初めてだからね。楽しみだよ」
「はい。私も楽しみです…」

はああ…良かった、夢だった。いや、だけどリアルと言えばリアル…
聖さまはモテモテだから、あそこまで多くなくても毎年たくさん貰ってそうだし…

「それにしても…まだ5時前だよ。出かけるにはさすがに早すぎるねぇ」

聖さまはニヤリと笑って、そして眠たそうに目をこすると、
掛け布団をきちんとかけ直し、端をめくって“ここ”と私を呼ぶ。

「も少し寝よう。ほら、おいで」

いつも寝心地のいい、聖さまの右横定位置に滑り込み、胸に顔を埋めた。

「ん…よしよし…祐巳ちゃんはやっぱりあったかくて気持ちいいなあ…」
「えへへ、聖さまもあったかいです…」

ぎゅっとしがみつくと、優しく抱きしめてくれた。
暖かい腕の中に包まれて安心すると、再び微睡(まどろ)みの世界へ…

甘い甘い、かなり甘すぎる夢だった。ちょっと変な汗が出ちゃったけど。
うふふ、やっぱり嬉しいから、ちょっと興奮しすぎてるかな…
今がとても幸せだから、そんな夢を見ちゃうのかもね。
しかし…
何となく夢が少しだけ現実になりそうな気がするのは、
どうか私の考え過ぎであって欲しい…

だっていま聖さまの顔はこの上なくあどけなくて、
夢の中の聖さまとまったく同じだから…


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


甘い甘い日…(聖視点)

祐巳ちゃんはどんな夢を見ていたんだろう…
私の名前を呼んでたみたいだったけど…
何か怖い目に遭ってたのかな…
夢の中の私はキミを守ってあげられなかったのかな…
祐巳ちゃん…
もしそうだとしたら…
ごめんね祐巳ちゃん…
まだまだキミを大好きな気持ちが足りないのかもしれない…
何処かに迷いがあるのかもしれない…
でもそんな筈はない…
夢は夢だ…
現実の私は誰よりもキミが大好きなんだから…
何時だってキミを守ってあげるんだから…

『聖さま、一緒にチョコレートを選びに行きましょう!』

すごく嬉しかったよ…
同年代の女の子と一緒にそんなことするの初めてだったから…
何か気恥ずかしい気持ちもあったけど…
大好きな祐巳ちゃんと交換するチョコを選ぶんだもの…
そんなこと考える自分が気恥ずかしいよね…
でも本当に楽しみだなぁ…
この時期チョコ売り場は女の子がひしめき合う戦場だから…
必死になって選んでる女の子たちの表情はさぞかし…

ああいけない! 私ったら何てこと考えてるんだか…
キミの笑顔だけでいいのに…
キミのことだけ考えていれば充分なのに…
まだこんな気持ちがあるから苦しめてしまうんだね…
ごめん。本当にごめん祐巳ちゃん…
嬉しすぎてちょっと変になってたみたいだ…
こんなんじゃ可愛い天使を守れやしないんだ…
ごめんねマイ・スイート・エンジェル…
いまは私の傍で安心しておやすみ…

もう一度祐巳ちゃんの柔らかい体を優しく抱きしめ…
その存在と暖かさを確認すると…
私は再び微睡みの世界へと落ちていった…

これより数時間後の甘い甘い一時に思いを馳せながら…
posted by みどし at 23:02| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | VT記念SS(視点分け)聖・祐 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月25日

2005年12月24日

美℃的「X'ms(改)」…その2

クリスマス企画・1日目は都合により削除…
2日目はSSをアップしてみました。
未来の「聖さま×○○」です。
そう、相手を特に限定していません。
皆さんの好きなカップリングを思い浮かべながら読んでいただければ幸いです。

それでは下の追記からメロメロっとお入りください…


二人の甘い世界へ…
posted by みどし at 15:56| ☀| Comment(2) | TrackBack(0) | オタク日記(マリみて) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月01日

心の迷宮…

心の迷宮…


姉妹ってなんだろう…
妹ってどんな感じがするんだろう…

自分には妹がいない…
今まで持とうとも、持てるとも思わなかった…
実の妹だっているわけじゃないし…
本当に考えたことがなかった…
でも…だから…
妹を持つってどんな感じなんだろう…
姉になるってどんな感じなんだろう…
お姉さまは私が妹で本当に良かったのかな…
ひねくれ者で、手のかかる妹だったけど…
それでも…愛してくれた…
そして私もそうだった…
うれしかった…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
うれしいのか…
妹を持つということは
やっぱりうれしいものなのか…
姉になるということは
うれしいものなのか…


「江利子…!」
「…びっくりした」
「姉妹ってどんな感じ?」
「何よ。居眠りしてたんじゃなかったの?」
「そう見せかけといて、実はいろいろ考えてました〜」
「まったく…」

いつものように読書していた江利子の隣で、机に突っ伏して居眠りしてた私…
目が覚めて、ふと思ったことを考えるのに没頭していた。

「しまい…? スール制度の…?」
「う〜んとね…いや、普通のでもどっちでもいいや…」
「実の姉妹だったら私もわかんないわよ。うちは男系兄妹だし、
  妹の立場としてだったら、もう何て言うかウンザリって感じね…」
「そりゃそうだろうな…」
「リリアンの制度での姉妹なら…」

こんなこと聞くのは初めてだから、少しだけ緊張した。

「そうねぇ…私もよくわからないわ」
「なんだぁ…」
「改めて考えたこともなかったわよ」
「…それじゃ、令で幸せだった?」
「変な質問ねぇ。そりゃあ選ぶときは特徴のある子で探したわ。
  でもそこから先はどうなるかわかんないから楽しいんだと思うの」
「ふうん…」
「教えて教えられて…お互いが支えになり、絆が生まれるのよきっと」
「うん…」
「今は充分幸せよ? 想像以上の素晴らしい妹だし、孫も出来たし…」
「…そう」
「考えすぎてもどうにもならないわ。要は“ひらめき”…かしらね」
「解ったような解らないような…。でも、ありがと…」
「自分でもよく解らないんだからあまりいい答えではないかもね。
  蓉子にも聞いてごらんなさいよ」
「え…蓉子…?…うん…まあ…ね」
「ほら、階段を上がってくる音が聞こえるわよ?」

あ〜あ、また楽しそうな顔してるな…
そして扉が開けられる。思わず背筋が伸びた…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

江利子が姉だったら…
私のどんなところを気に入るんだろう?
…これは真面目に聞いてみたいところだ。
妹にするなら…
江利子の何を気に入るのかな。想像し難いな…。
でも向こうから“ごめんなさい”とか言われそうだ…
そして蓉子が姉だったら…
言うこと聞かないから相当やっかいな妹だ、私は…
逆に蓉子が妹だったら…
出来の悪い姉に翻弄されて可哀相…
そして妹に小言とか言われちゃうんだな、きっと…
…どっちにしても今とあまり変わりないみたいだ。

我ながらヘンなことを考えてしまった。
ハハハ…本当に。何考えてるんだ私は…
疲れてるんだ、というか現実逃避だな。

そう…あの子ならどうなんだろう…
自分と似ているというあの子が妹だったら…
いい姉妹になれるんだろうか…
お互いの何を気に入るんだろう…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
全く今日はどうかしてる…
こんなこと考えるなんて…
面倒くさくなるだけなのに…
もうやめよう…
今は何も考えないことが一番いい…

季節の長雨のように思いを巡らせた…
六月初めのある日の放課後…
posted by みどし at 06:51| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 二次創作(原作内?)聖・江・蓉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月12日

居場所…

居場所…


放課後…二人きり…場所は…
どこでもいいんだ…二人きりなら…
でも結局ここが一番都合がいいから…
そんなに好きな場所じゃないけど…
ここはある意味禁断の空間…
部外者はまず入ってこないし…
用が済めば誰も居なくなる…
ここはリリアン女学園、禁断の薔薇の館…

「江利子…」
「何?」

気だるそうな顔で私を見下ろしている江利子。
私の頭は江利子のヒザの上だ…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

江利子は本を読んでいた。
私はその隣に座って寄りかかっていたら、「重い」と言われたので、
イスをもう一つ並べてその上に横になると、
ちょうど江利子のヒザが枕になった。
端(ハタ)から見るといささかダラシなくて苦しい体勢だろう…
何も言わずにいた江利子だったが、
「ヘンなことに労力使うわね」
そう言って私の頬を一撫ですると、また読書を再開したのだった。

しばらくの間、静かな空気が流れた…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この間蓉子と大喧嘩になった。藤堂志摩子のことで。
思わず殴ってしまいそうになった。本当に危ないところだった。
蓉子は親友だ。気持ちも分かっているつもり。蓉子は悪くない。
私がすぐ逃げようとするからいけない。わかっている…
ただ、あまり干渉されるのは…好きじゃない…

江利子もまた親友だ。幼稚舎からの腐れ縁みたいな感じ。
ふとしたきっかけでこうして二人でいる時間が増えた。
思った以上に私のことを気にしていたようだ。
でも、しがらみが少ない分、蓉子より楽につき合える…

「今一番ホッとするのは江利子といる時だよ」
「…そう」
「ぶっちゃけて言うと逃げ場所みたいな…」
「ふふ…いいわよそれで」
「私はズルい人間なのかな…」
「そうかもね」
「どうして江利子はそんなズルいやつとこんな風にしてるの?」
「…? 今更何言ってるのよ。前にも言ったでしょ?」
「何で?」
「嫌いじゃないからよ」
「…江利子」
私は手を伸ばし江利子の髪の毛に触れた。
江利子は優しく微笑んでいる…
「聖…」
「江利子…?」
「…そろそろヒザがシビれてきたんだけど」
「あっ、ご…ごめん!」
あわてて起きあがろうとしたからイスから転げ落ちてしまった。
「ア…痛た…た」
「ふふふ、ヘンな体勢で寝てるからよ」
照れくさそうに起きあがった私を見て、
「さっきの言葉につけ加えるとね…面白いから一緒にいるのよきっと」
ほんとに面白そうに笑ってる。少し悔しいな…
でも、こんな他愛ないやりとりが心地いいんだ…

「帰ろ?」
「そうね」
椅子をきちんと整頓して、鞄を手にとり、
ビスケット扉から出たところで、そっと手をつないだ。
江利子は気にすることなく、キュっと握り返してきた。
そして階段をゆっくり踏みしめて降りる…

「…志摩子ちゃん、どうするつもり?」
「ん、まだわかんないよ。でも何となく江利子みたいなとこがあるのかな…あの子」
「…私?」
「あまり気を使わなくてよさそうなところ…」
「ふぅん…」
「言い換えれば、何もしなくていいってことかな…?」
「……」
「いや…居心地が良いのかもしれない」
「うふふ、そうかもね…」
横を見ると、江利子はそれは嬉しそうに微笑んでいた。
何か納得したとでもいうような不敵な微笑みにも見えたが…


誰かと一緒に居ると安心する…
こんな気持ちも自分にはあったんだ…
少しずつだけど私は変わってきているんだろう…
私は自分の居場所を見つけることができるのかな…
その時隣には誰が居るんだろう…

少し先の未来に想いを馳せてみる・・・

posted by みどし at 06:31| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 二次創作(原作内?)聖・江・蓉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月08日

友達…

友達…


四月も終わりに近い、ある日の放課後の薔薇の館──
「ごきげんよう」「ごきげんよう、また明日」
定例会議が終了し、それぞれ帰路に着くため館を後にしていく

館には私と江利子の二人だけになった。
あの日以来、二人の関係は少しだけ変わっていた。

紅薔薇姉妹は、もうすぐ行われる、恒例の山百合会主催の新入生歓迎会で、
いろいろな準備と共に、祥子がピアノを披露することになっているので、揃って何かと忙しい。
黄薔薇姉妹は、令が由乃ちゃんの体調を気にしつつ、指導しながら仕事をこなし、
自身も部活動に足を運びながら、こちらも忙しい毎日を送っている。
江利子は特に口出しはしていない。令の好きなようにやらせているだけだという。
白薔薇である私は、担当の仕事はそつなくこなしているが、まあ相変わらず独り身で…

そんな感じで、何となく空いた、心の隙間を埋めるかのように、
以前より、お互いを意識するようになっていた。

窓際から少し離れた壁の片隅で、私にもたれ掛かるように寄り添ってきた江利子…
そっと肩を抱き寄せる。江利子も私の腰のあたりに腕を回してきた。
お互いの体温を少し感じる、このくらいが一番心地よい。
すべてを許すわけではなく、すべてを拒否することもない関係。
放課後、薔薇の館で、最後に二人だけになった時限定だけど、
努めてそのように持っていくわけではない。
ごく自然の流れでそうなったとき、どちらからともなく…
今の二人は、この微妙な関係を大切に過ごしていた。

「江利子…」
「ん?」
「どうも私は桜に弱いらしいんだ…」
「なに? それ」
「…また、マリア様がいたんだよ」
「え? 一年生?」
「うん、見たことない子だったから多分」
「そう。それであなたは気になるわけね。そのマリア様が」
「でも、栞の時とは違う。人間だったよ」
「うふふ、面白い言い方するわね」
江利子は悪戯っ子のように微笑むと、正面から、私に体を預けてきた。
少しドキッとしたけれど、私は江利子の背中から腰に腕を回し、指を組んで軽く抱きしめた。
この前は突然だったからあまり覚えてなかったけど、
意外としっくりくるなぁ。ちょうどいい高さで、抱き心地も悪くない…か。
……まったく何を考えてるんだ私は。…ごめんね江利子。
そんな心の中を知ってか知らずか、楽しそうに私の顔を見ている江利子。
「聖が人間に興味を持ったのね」
「…それもおかしな言い方だね」
「だって、そうじゃない」
私はムッとしたのと、照れくさいのとが一緒になって、顔を少し背けた。
「いやぁね、怒らないでよ」
背中をあやされるようにポンポンと叩かれた。
ますます照れくさくなって、苦しくならない程度に、抱きしめる腕に力を込めた。
「最後に、お姉さまに言われたんだよ。大切なものが出来たら、一歩引きなさいって」
「まあ、そんなこと言われてたの?」
「私は出来の悪い妹だったからさ」
「それで? 大切なものになりそうなの?」
「わかんない。でも、似てたんだ。その、出会った時の感覚みたいなのが…」
ふいに思い出してしまって、悲しくなってきた。
「だから、もし、そういうふうになったら、怖いんだよ。言われたことを守れるかって…」
「聖…」
「また壊してしまいそうで…」
そして、目頭が熱くなってきてしまい、
私は江利子を抱きしめていた腕を解くと、壁に寄りかかって顔を伏せてしまった。
江利子はふぅっとため息をついて離れていった。
弱い。なんて弱いんだろう…。全然前へ進めない。
それほどまでに彼女の存在は大きかったのだろうか。
忘れなければいけない。でも忘れられない。これじゃ永久に堂々巡りだ…

────────────────────────

「ほら、聖。しっかりしなさいよ」
「…!」
何か冷たい感触が両頬にきて、そのままグッと顔を持ち上げられた。
はっとして目を開けると、江利子の、さっきよりさらに楽しそうな顔が目の前にあった。
「うふふ、目が覚めるでしょう? 充分水で冷やしてきたから」
私が下を向いている間に、わざわざ流しで手を濡らしていたのだ。
「冷たい…」
「本当にバカね」
「…何よ」
「大丈夫。いざとなったら、助けるわよ」
「…江利子?」
「蓉子だって黙っていないでしょう?」
「…」
「あなたは自分が思っている以上に、いろんな人に愛されてるのよ」
「そんなこと…」
「もう少し力を抜いて、友達を頼りなさいよ」
「…友達?」
「あなたは独りで考えすぎ。もっと周りを見ないとだめよ」
大人だな、江利子…。同い年なのに。私が子供過ぎるんだろうけど…
「ほんと。蓉子があなたを放っておけないのが、わかるわ」
そう言ってコツンと、おでこを、私のおでこにぶつけてきた。…やられた!

「冷たいよ江利子」
私は頬を包んでいた江利子の手を掴んで、そのままぐっと後ろに引っ張って顔を寄せた。
「うん、ほっぺたは暖かいね」
「ふふ、やっぱり聖にはドキドキさせられるわね」
江利子もまた照れくさそうに、頬を寄せてきた。
「ありがとう」
「どういたしまして」

さり気ない行為が私の心を救う…
この先もきっとこの手が必要なんだろう。

今日のところは、愛しい友達に感謝・・・

posted by みどし at 06:23| ☔| Comment(0) | 二次創作(原作内?)聖・江・蓉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月07日

未来へ…

未来へ…


蓉子、江利子、聖。三年生になったばかりの四月──
新一年生を迎え、数日たったある日の放課後の薔薇の館
聖が気だるそうに階段を上がりビスケット扉を開ける

「あれ?」

誰もいない…と思ったら、江利子がいた。
いつもは椅子に座って、紅茶か何か飲みながら本など読んでいるのに、
今日はいつも私の立っている窓際から、外の景色を眺めている。

「珍しいわね、そんなところで。何か面白いものでも見えるの?」
「別に…。聖が向こうから普通に歩いてくるのが見えた」

やれやれ…“普通に”を加えるところが何というか江利子らしいや。
そう思いながら、その窓際に近い自分の定位置の椅子に座った。

「私が最後だと思ってたのに。他のメンバーは?」
「蓉子は職員室に用事があって後から来るわ。祥子は家の用事で直帰だって」

ふう…と、一息ついて続ける。

「令は由乃ちゃんの具合が良くないので一緒に帰ったわ」

由乃ちゃん…何日か前に紹介された、令の妹。
従姉妹同士で、なんでも心臓が弱く無理ができないらしい。
華奢な体つきだけど、真っ直ぐ前を見ていて、芯はとても強そうに見えた。
しかし令ったら、すごく嬉しそうに紹介していたっけ。
江利子も鼻高々って感じで、黄薔薇はこれで安泰か。

(それに比べると私なんか…)

自分を卑下してしまいそうになったが、ふと、あることに気付いてポンと手を打つ。

「…てことは、今日はもう終わりだ。みんな帰っちゃったんじゃねぇ…」

そう言って立ち上がり、鞄を手にとって、帰ろうとしたら、ぴしゃりと一喝されてしまった。

「まだ蓉子が来るわよ!」
「で、でもさぁ、三年生だけじゃ話し合いにならないじゃん」
「そうね。でも蓉子が来るって言ったんだから待っててあげましょう。
それよりほら、こっち来て見てみなさいよ」

手招きしている。うわぁ、楽しそうだ。どうやら面白いものを見つけたらしい。
仕方ないなぁ。せっかく手にした鞄を置いて、江利子の隣に行き、窓から覗いてみると、

「ん…? 新聞部の部長と、その妹の築山…三奈子さんだっけ。その隣に、新一年生かな?」

クリッとした目が可愛い。さっそく新入部員を捕まえたのか。新聞部だけに行動が早いな…
なんて、いろいろ思いながら見ていたら、三人と目が合った。
部長はニコニコしながら手を振っている。あとの二人はちょっとかしこまって会釈した。
こちらも軽く手を振り、それに答える。江利子も同じく手を振りながら、

「あの子、かなり好奇心が強そうね。三奈子さん以上と見たわ。目の輝きが違うもの」

私より鋭い観察眼である江利子がそう言うのなら、間違いなく大器なんだろう。

「ふふ。今年の一年生、なかなか面白そうな子ばかりね」

しばらくすると三人は顔を見合わせて、足早に向こうに行ってしまった。
リリアンかわら版のターゲットでも見つけたのかな。今月は新一年生特集号になるはずだし。
子羊ちゃんたちに芸能レポーター並みのインタビューなんかしたら、かえって逃げちゃうよ…
そんなおかしなことを考えながら、部屋の中に向きを変えた。すると、

「ふうん、いつもと違うところから見ると、この部屋も案外広いのね」

隣で江利子がポツリと呟いた。
なんだか今日の江利子は、いつもと違う雰囲気がする。
そういえば、今までちゃんと喋ったことってあったかな。
たまに口喧嘩する程度で、お互いあまり気にしてなかったと思うけど。

「何かあった?」
「別に…。四月はいろいろ変わるから、少し気が滅入っただけ」

たしかに、教室の場所とか、勉強内容とか、環境はかなり変化する。
まぁ自分の場合、それらは特に大したことではないので問題にはならないのだが。

「由乃ちゃんね、しっかりしてて、とてもいい子よ」
「うん。私もそう思った。令のほうがちょっと頼りなく見えたし」
「令はあの子に相当参っているわね。姉以上に」
「ふうん。幼馴染というか従姉妹だと、本当の姉妹より、絆が強い感じなのかなぁ…」
「ちょっと妬けたのよ。だから少しだけお節介しちゃった」

なるほど。さっそく一戦交えたのか。江利子らしい。

「うふふ、楽しかったわよ。体が丈夫だったら、もう少しいじめてあげられたのに」

おお、怖い。どういじめるんだか。でも、心配なんだろうな…

「ところで聖、あなたは大丈夫なの?」
「え、私? 何が?」

いきなり振られたので、ちょっと素っ頓狂な声になってしまった。

「あれから随分たつけど、もう吹っ切れたのかってことよ」

江利子がそんなことを聞いてくるとは…
それでも私は、あの時よりは素直に話すことが出来た。

「お姉さまや、蓉子に迷惑かけた。それからは、いろいろ忙しかったから」
「そう…」
「バタバタしてるうちに、少しずつ忘れていくもんだと思ってたんだけど…」

なんだか悲しい気持ちになってきた。やっぱり、まだダメなのかな…

「…そうね、蓉子のほうがあなたに想い入れがあるみたいだから、遠慮してたけど…」

江利子の手が伸びてきて、少し強引に、抱き寄せられた。
あまりに突然だったので、思わず壁に両手をついてしまった。

「…えっ、江利子?」
「私だって本当はあなたのこと随分と心配してたのよ?」
「…なっ・・・」
「ふふ。だから、たまには私にも甘えてみなさいよ」

思わぬ言葉に、みるみる赤面してくるのが分かった。
江利子が私のことを心配…?
頭の中が混乱している。でも、この体勢は、あまり良くない…

「江利子、悪い。ちょっと離して」
「何よ」

ムッとした顔で見返してきた。

「違うよ。こうしたほうが都合いいから」

今度はこちらから、江利子を包み込むように、優しく抱きしめた。
顔がちょうど私の肩にもたれ掛かると、江利子の体温を感じた。

「えっと…ありがとう。その、そんなふうに思っていてくれたなんてさ…」
「バカね。何年のつき合いになると思ってるのよ」
「うん、そうだったね」

(…幼稚舎での出会いはちょっと衝撃的だったかな
その後は特に気にすることもない、云わば空気のような存在で
高等部に上がって、お互い薔薇さまと呼ばれる人の妹になり
運命と言ったら大げさか。腐れ縁…。いや、なんて言えばいいんだろう…)

いろいろ考えているうちに、すごく愛おしいという感情が込み上げてきた。
その時、急に江利子は顔を上げた。目が合ってしまった。あ、やばいかも…
ところが江利子はニコっと微笑み、

「残念…。タイムリミットのようね」

軽く胸を押されて、二・三歩後ろに離されてしまった。
ガチャ。扉が開く。蓉子が入ってきた。

「あら、あなたたち待っててくれたの? ごめんなさい。思いのほか長引いてしまって」

そして、まだ赤い顔のままの二人を見て、

「何? また喧嘩でもしていたの?」
「うふふ、そんなところよ。それよりお疲れさん。何か飲む?」
「あら、作ってくれるの? それじゃミルクティー、お願い」
「了解。聖は?」
「あ、うん。いいよ。自分で作るよ」

あわてて江利子の後に続く。

「あのさ、今日はどうかしてない?」
「私はいつも冷静よ」

それからしばらく三人でいろいろお喋りした。時間が経つのも忘れて…

────────────────────────

外はすっかり暗くなっていた。

「ちょっと遅くなっちゃったわね。でも久しぶりに楽しかったわ。いろいろ話ができて」

蓉子は嬉しそうに言うと、少し前を歩き出した。
その後ろに江利子。私は小走りで駆け寄り、そっと手に触れた。
江利子は軽く握り返してきた。そして小声で、

「さっきはかなりドキドキしたわよ。ふふ。続きはまた、いずれ」

また赤面してきたと思う。でも暗いから見えないだろう。

「なあに? 今日は二人とも、仲がいいのね?」
「何でもないわよ、ロサ・キネンシス」
「まあ。急に何よ、ロサ・フェティダ」
「ほら、ロサ・ギガンティアも早く来なさいよ」
「ロサ・ギガンティア…」

私にはまだ重く感じる。不安定な気持ちもたぶんずっと変わらない。
でも、少しだけ頑張ってみようかな。

この二人と一緒ならきっと大丈夫・・・






posted by みどし at 06:20| ☔| Comment(0) | 二次創作(原作内?)聖・江・蓉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。